唖然とする数字 [コラム]
年齢65歳を超えて賞味期限も切れたので、
今年の3月一杯で首の皮1枚をのこして事務職員をリタイヤして、
4月より新米の非常勤講師になり、14名の学生さんに「現代社会」について週に2コマの講義を担当している。
講義の初めに話したことは、
世界で初めて「義務教育」を実施した「フランス革命政府の教育の理念について」である。
革命政府は、自分たちが成し遂げた「革命の成果」をどのようにして「次の世代に引き継いで貰うべきか」を真剣に議論した。
そして「国家の責任と義務において、すべての子供に教育を受ける権利を保障する」、
これが「義務教育」の始まりである。
義務教育とは、こどもが教育を受ける「権利」を持ち、国家と親がその「義務」を負うと言う事であると。
かくして、「教育の本質」は、「教える者は裁かれる身になって、教えられる者は裁く身になって」とされる。
このように講義を初めて、終わりの第14・15講でこれからの現代の課題について講義内容を詰めて来ると、大変な事になってきた。
*国と地方自治体の年間経費(歳出)は、凡そ166兆円、税収等の歳入は99兆円(60%)、凡そ67兆円が不足する事になる。
これが積もり積もって今や長期債務残高が778兆円となっている。
借金を子供や孫に残さないように、行政改革、道州制の導入、医療保険制度の改革等が議論されているが、先は見えてこない。
7月16日の日経朝刊の記事が目に止まった。
米FRB議長の発表が載っていた。
「米住宅ローンの残高は、凡そ1,155兆円」
其の内「サブプライム・ローン105兆円は焦げ付き」
世界の金融機関の損失は42兆円、
また「米住宅公社が保証・保有する住宅ローン担保証券は546兆円、
世界の金融機関が保有する証券は136.5兆円」、
米経済が縮小して証券等の下落、
ドル下落が始まったら、日本経済のみならず世界経済はどうなるのか。
20世紀を生き延びてきた者として、
この現実を、21世紀に生きる若者にどのようにお願いしたらよいのか。
このような内容の講義をしながら、
「教える者として裁かれる身」になった時、
学生さんは「裁く身になって」どんな裁きをしてくれるであろうか。
新米の非常勤講師:寺尾雅規